BRST!
だけど。
「昴くん血が…っ、」
彼の腕にはおびただしいほどの血が。すぐさま駆け寄った私は手のひらをそこに翳し、治療していく。
「…かすっただけだ。稜は無事か?どこも怪我してねーか?」
こんな時まで私の心配をする彼に泣きそうになる。傷を負っているのは、貴方なのに。
「、はい…。昴くんが、守ってくれたから。」
片手は緑の光で彼の傷を塞ぎながらも、もう一方の手で胸元に光る赤い石を握りしめた。
「でも、こうなるって分かっていたら私は…っ、!」
それ以降は言葉を続けることができなかった。ぎゅう、とその力強い腕に抱き締められたから。
塞がったばかりの傷を気にする様子もなく、一心に私を包む腕に力を込める。そして私の肩口に顎を乗せ、頬をすり寄せた彼は。
「…無事で良かった…。」
はあ、と吐きだした彼のその安堵の息が耳元を掠めた瞬間、私の涙腺は決壊した。