BRST!
"本当に…!?稜、ありがとう!"
「ふふ、いいえー。」
可愛いなあ。心底嬉しそうな声を出すゆきに頬がゆるむ。そしてふと、あることに気づいた私は慌てて彼女に言い掛ける。
「ゆき、私水着持ってないんですけど…!」
衝撃の事実である。しかし考え直せばそれもそうだと合点がいく。ここ数年、海どころかプールにも行ってないんですから!
"あはは、それあたしもだよ。稜がこっちに帰ってきたら一緒に買いに行こう。"
あたふたと取り乱す私だったけれど、ゆきの言葉に思わずホッと息を漏らした。
そして暫く世間話なんかした後、
「それじゃ、また連絡しますねー。」
そう告げてゆきが頷いたのを確認すると、ピ、と通話終了のボタンを押す。そして画面に表示された通話時間が今までで一番長かったことに驚いた。
ふう、と一息吐いて伸びをした後、あることを思い出した私は自室へと足を向けた。