BRST!


「…わり。でかい声出すつもりじゃなかったんだ。」


申し訳なさそうに顔を歪め、優しく私の肩を抱いた彼に首を振って意を伝えた。


「稜の父さんと約束したんだ。お前が高校卒業するまでは手を出さない、って。」

「そ…んな、じゃあ、」

「ん、俺は熱りを冷ますために外に出てたって訳。怒ってたんじゃねーんだ。」


ごめんと呟いて額にキスを落とした彼に、大丈夫ですと伝えた。…良かった、本当に安心しました。


「あ、そういえば。覚えてないって何ですか?私なにかやらかしたんでしょうか…!」

「あー…、」

「や、やっぱり!」

「知らないほうが幸せなこともあるもんよ、稜ちゃん。」


ぶす、と頬を膨らませるも彼は全く答える気が無いらしく、思案気味に視線を宙に漂わせている。


「(稜とヤる暁には酒飲ませようと思ったけど…、覚えてねぇんじゃ意味ねぇしなー。)」


そんなことを彼が考えているとは露知らず。

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