BRST!
「食券…!」
そう言う私が指差すのは、青年の手に握られている食券で。
「これ、あんたのか?」
「そうなんです。キャッチしてくださって、ありがとうございました!」
「いや、別に…。」
些か恥ずかしげに頬を赤く染める青年は快く食券を渡してくれた。いい人だ!
それにしてもこの人、昴くんのクラスの人と同様にホストみたいな恰好しているけど…、3Aの人なんだろうか。
何にせよ私の用事は食券にあったので、お礼を述べて素早くその場を立ち去ることに。
青年は何か言いたそうな面持ちだったけれど、結局言葉が発されることは無かったので私はその場を離れた。
里麻のところへ戻ろうと足早に歩を進めて、視界の端に玄関が映り込んだ、そのとき。
「おっ、可愛い~。」
「姉ちゃん一人?」
「かなり美人じゃん。」