BRST!
この人、どこか族に入っているのだろうか。普通、大の男を一度に二人倒せるものなの?
昴くんなら分かるけれど。
と、そのとき。
「りょーうー!!」
遠くから聞こえた里麻の叫び声に、ハッと我に返った私は改めて青年に向き直った。
「……二度も助けて頂いてありがとうございました。では、友人を待たせているので失礼しますね。」
「あ、おい!」
ニコリ、微笑みだけをその場に残して里麻の声がした方向へ駆けていく。
背中越しに青年が何か言っていた気がするけれど、私の頭には里麻のことしか無かった。
また一人にしてしまったから。里麻が絡まれたら、と思うと居ても立っても居られなかったんだ。
ヒールがすり減ることも気にせずに足を動かしていると、丁度此方へ向かってきた里麻を見つけ安堵の息を吐いた。