BRST!
第1章
/物語の開幕
――車窓から見える景色は、よく知ったものから未知の世界へと変わっていく。
窓を少し開けて空を仰げば、雲ひとつ無い晴天が視界を占めた。
まだ春先ということもあり、入り込んでくる空気は冷たさを孕んでいる。
ジー、という音とともに窓を閉め、右隣で1時間程運転している従兄の方へ視線を向ける。
するとそれに気付いたのか、彼は私と視線を絡めた。
「ん?どうした、疲れたか?」
「いえ、私は平気です。昴《すばる》くんこそ、ずっと運転で疲れてませんか?」
私は運転したことがないから、あまりよく分からないけれど。
やはり、ずっと休みなしで運転っていうのは疲れるんじゃないかな。
ピン、と精神を張り詰めてなければいけないだろうし。
「んー、稜《りょう》に心配してもらえるんなら、俺はいつでも大歓迎だわ。」
「…そうですか、」