BRST!



「(……ずるい。)」



いつまで経っても、昴くんには慣れっこないのだ。


私ばっかりドキドキして、なんだか悔しいのですが……。



「うお、稜!?」



すっかり朱色に染まってしまった顔を見られたく無くて、思い切りダッシュを決め込む私。



「(だから、速いっつってんだろ!)」



途中から本気の逃亡劇へと突入してしまい、二人で暮らすマンションに辿りついた頃には軽く目眩を起こしてしまうのであった。


何はともあれ、普段の生活に戻ることが出来た私たち。


これは後から耳にした話なのだけれど、昴くんと須藤さんの死闘は決して口外されなかったらしい。


聞くところによると、何でも須藤さんが手を打って下さったと言うことだ。


現"天龍"総長さんは、全くもって俊敏なお方である。


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