BRST!



相も変わらず抱きすくめられたままの私。


あの女の子たちに留まらず、帰宅途中であろうサラリーマンの男性も怪しげな視線を向けてきている。



「んー、稜は男の格好してもモテるんだもんなあ。」

「いや、声を掛けられたのは明らかに昴くんでしょう。と言うかいい加減離して下さいよ!」

「無自覚か、それもいいなー。つーか今日稜は俺の服着てるんだよな……やっべ、なんかキてるわ。」

「私の話聞いてますか!?」



結局。


尚も理解しがたい変態的見解をべらべらと続ける昴くんの足を思い切り踏み付け、脱出に成功した私。


途中何度も悪ふざけを挟んだが故に、駐車場に着いた頃には夕日が沈みかけていた。


最後までどのレストランにするか迷っていた昴くんだったけれど、私の意見によりあっさりと中華料理に決定した。


何事もなく一段落したように見えた、委員長とのいざこざ。


思いの外、彼女の私に対する執念が深かったと知るのはもう少し先の話。





BRST!Ⅰ【完】
To be continued.

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