BRST!
『稜は、俺と結婚したいって言ってくれただろ。』
『?はい。』
『俺も稜と結婚したい。』
『それは、前も、昴くん言ってくれました。』
『…そーだな。』
穏やかに細められた瞳で微笑む彼は、凄く恰好良かった。
子供ながらに私は見惚れていたものだ。
そして、手にしていたリングを私の左手薬指へと滑り込ませた彼は核心を突く。
『――俺はこれから、強くなるために此処を離れる。』
『え…?』
『高校を卒業したら、ちゃんと稜にプロポーズする。だから、それまでこれを持ってて欲しい。』
そう述べた彼は、通したばかりの指輪に軽く指先で触れてみせた。