BRST!
―――――…
「はー、食った食った。稜ちゃんの料理ってなんつーかこう、お袋の味ってやつだよな。」
「と、とんでもないです!」
「謙遜するこたねーよ。まったく…昴が羨ましーぜ。昔よりも更に磨きがかかったんじゃねえ?」
「はあ?お前いつ稜の手料理食ったんだよ。」
「お前な……。何度も倉庫に持ってきてくれただろ。」
若干の酔い心地で言葉を交わし合う二人を見据えていると、空になったグラスに持参した焼酎を注ぎつつ感慨深げに新さんが続きを紡ぐ。
「懐かしいな、昴が稜ちゃんをメンツに紹介したときのこと。」
「あー…、んー、まあな。」
歯切れ悪くそうこぼす昴くんは、最後まで私を族の世界に関わらせたくなかったらしいから。
今になって思えば、ゆきの為を思って遠ざけていた総も、昴くんと同じ思いを抱えていたのかもしれない。