BRST!
第9章
/相川家
時は過ぎ、大晦日。
「忘れ物ねーか?」
「たぶん、大丈夫だと思います。」
車から大きなボストンバッグを取り出し、それを至極当たり前のように持ってくれた昴くん。
スーツケースと迷ったけれど、どうせ実家に帰るだけな訳だし。
昴くんの仕事の問題もあったけれど、結局地元に着いたのは今年最後の日だった。
「よし、んじゃ行くかー。」
バタン、と。
車のドアを閉めつつ、キーのボタンを押してロックする。