BRST!
「総に連絡してみたほうがいいんじゃねーか?」
「あ、そ、そうですね…。」
震える手に力を込め、ジーンズのポケットに忍ばせている携帯電話を手探りに引っ掴む。
と。
「稜。」
「すば、るく…。」
情けない私の右手を昴くんの左手が包み込む。ゆきは私の親友だ。彼女が得体の知れない連中に拉致された、という事実は予想以上に私にダメージを与えた。
「大丈夫だ。奴等の目的が"聖龍"なら、総たちが着くまでは手出ししないだろう。」
「……はい。」
「(よっぽどの下種《げす》野郎だと話は別なんだけどな…。)」
昴くんの考えていることが分かる筈もなく、少しだけ安堵した私。再度ポケットに手を突っ込み、それを取りだし耳に当てる。
「…。」
「出たか?」
「いえ…。」