BRST!


…意味が分からない。どうしてあたしは此処に連れてこられたんだろう。


あたしの身のまわりに、こんなヤバそうな連中を敵に回している人間がいるか?…ないない。あたし自身いたって普通の高校生なんだし。


「(だったら、なんで…。)」


悶々と自問自答を繰り返すが、脳裏に浮かんだひとつのキーワードがあたしの思考を奪い取った。


ニュースや新聞でしか耳にしない言葉。18年間ごく普通の生活を送ってきたあたしにとって、非現実に他ならない単語。


――強姦。


「…は、」


渇いた笑みをこぼす。そっか、あたし。ここでヤられちゃうのかな。…初めては総が良かったんだけど、な。


小刻みに震える身体を抱きしめる。と言っても、手首と手足を縛られてるから不自然な格好なんだけど。


「(…。)」


ばかだ、あたし。こんなことになるなら早く総に告白しとけばよかった。自分の不甲斐無さを呪う他ない。情けない自分に、止めどなく流れる涙。

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