BRST!
ふわり、と。
爽やかな香りが舞ったのと同時に、すっぽりと大きな腕に包まれていた。
「ごめんなさ、」
「いいから。もう謝るな、って言っただろー。稜は全然悪くない。」
「っ、…私が弱かったから、」
「違うだろ。」
くしゃり、髪を少しだけ乱される。
また涙を流しそうになっていた弱い自分。
その頭を包んでくれる、大きな手のひらの温度が酷く落ち着かせてくれた。
「でも、昴くんを守れなかった…。」
今でも、時折フラッシュバックするのはあの光景で。