BRST!
「ひゃははは!震えてんのか!」
突如笑いだすその男。狂ったような笑い声があたしの鼓膜を揺らす。
「っ、」
最悪だ。折角自分を奮い立たせたのに、瞬時に出端《でばな》を挫かれた。
「姉ちゃん総長の女だろ?その姿見たら奴等どんな顔するだろうな~?ぎゃははは!」
虚ろな目。この男…目の焦点が合ってないんじゃない…?っていうか!
「(総長…?)」
総長って誰よ。"総"なら知ってるけど"総長"さんなんて知らないんですけど…。
「人違いだと思うんだけど!」
いきなり出た自分の大声にあたし自身も驚いた。それは目の前に立ってるこの男も同じらしい。だけど、
「…嘘言うんじゃねえよ~。」
あたしの真実は全くもって聞き入れてくれないらしい。