BRST!
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《総 side》
「うおおぉおおお!」
――バキッ
―ドカッ
「カハッ、」
眼前で次々と倒れこんでいく男たち。個々の技量はたかが知れている。が、あまりにも多い人数に舌打ちしたい衝動に駆られる。
「(…くそ、キリがねえ。)」
四方八方から繰り出される拳を避けながらも脳内を占めるのは、ゆきのこと。
まさか、ゆきが攫われるとは思っていなかった。自分の不甲斐無さに吐き気がする。今すぐにでも、ゆきのところへ駆け付けたいのに。
そのとき。
――ヒュッ
―パシッ
「おーい総。考え込んでると避けれるモンも避けきれねーぞ?」