BRST!
「ちょ、里麻ちゃん痛いって!」
「ごめんごめーん。」
「それ、全然悪く思ってないカオだから。」
「あっ、ばれた?」
思い切り攻撃を受けて痛そうに顔を歪めるゆきだけれど、その表情は至極楽しそうで。
分かっているのかいないのか、里麻は悪戯に微笑むばかり。
ゆき、それ、わかるよ。
変わらないように見えても、どこかしら腫れものに触れるような態度になっていく周り。
里麻の答えは、ゆきは勿論私の心にも響いたことは間違いない。
「あはは、里麻なにしてるんですかーもう!」
「うわぁ、暑苦しいからくっつかないで!」
「じゃあ、あたしも。」
「あぁーもう!二人とも暑苦しいってばぁ!」
キッチン中を漂いながら鼻腔をくすぐる、甘い甘い匂い。
ラッピング用のリボン等が散らばるリビングにも、きっと届いている。
嫌がる里麻を間に挟んで笑い合う、ゆきと私。
こんなに幸せなことなんて滅多にない、なんて言ったら昴くんに怒られてしまいそう。