BRST!
/バレンタインは恋の戦争?
あれから数日。
普段と同じく、他の生徒よりも早めに登校した私は席に着きつつ頬杖をついていた。
2月も半ば。
冷たさの孕む風が外で身を震わせていたけれど、窓によって遮られたそれが教室に入り込むことはなかった。
視線を窓の外に向けると、太陽が控えめに辺りを明るく染めていて。
冬独自のその風景を何となく見つめつつ、静かなその空間に促されるように瞳を伏せようとする。
――はず、だったのだが。
「りょーお!おっはよー!!」
「ぐえっ!」
「なに、その微塵も色気のない声はぁ?」
「り、里麻……!今日はえらく早いですね。」
いきなりガバァ!と首に巻きついてきた里麻の腕を小刻みに叩きつつ、驚きに目を丸くした私は言葉を落とした。
教室には私たち以外の姿はなく、平素であれば登校時刻の10分前に姿を見せる里麻がその場に居るのだから。