BRST!
「……それ、響兄に渡すチョコですか?」
引き攣りそうになる頬を必死の思いで抑え込みながら、今しがた里麻が取り出したそれを指差す。
ピンク色の包装紙でラッピングされた箱は、あの日、一生懸命つくり上げたものに間違いない。
だがそれを解っていながら質問するのには、勿論裏に潜む私の思考があるからで。
「えぇ?なに言ってんの稜、そうに決まってんじゃん!」
「………。」
「え、え?なにその顔!言いたいことがあるなら言ってよぉ!」
「、いったぁ!」
なんたることか。悲劇の再来である。
ジンジン痛む背中に手のひらを這わせつつ、うーん、なんて思案する私。
だがしかし、眼光鋭くこちらにガンを飛ばす里麻を視線の端で捉えてしまって。
直ぐに口を割るに至ったのだ。