BRST!
「…それ持ってきても、響兄に渡せないじゃないですか。」
「え?なん――…、ってああー!」
「うわ、うるっさ!」
いきなり声を張り上げた里麻に目を丸くし、慌てて耳を塞いだ。
だって、予想以上に煩かったから。
「そうだった!!!くっそー!!!」
「いや、よく考えれば分かるじゃないですか…。」
朝日をその華奢な身体いっぱいに浴びつつ、地団駄を踏んで悔しがる里麻は女子力皆無の状況だ。
ふと依然、体育祭で彼女のツケマがぶら下がっていたことを思い出す。今の彼女はあの日を彷彿《ほうふつ》とさせるからだ。
ハッと我に返った私は、今にも力が緩んで落下しそうな里麻のチョコを救出することに。
「あっ、ぶな…!」