BRST!
「あ、ごめん!チョコありがとぉー。」
「い、いえ…。でも珍しいですね、里麻がそんな凡ミスするなんて。」
そう、普段であれば。
自身の恋愛というジャンルにかけて、エキスパートと称するに相応しいほどの行動力を誇る彼女なのだ。
だからこそ、今日の行動は珍しいもので正直驚いた。
まあ、それだけ響兄のことしか考えられなかったのかもしれないけれど。恋は盲目というやつか。
「いや、まあそうなんだけど。ちょっとウチの学校はバレンタイン特殊だからさぁ。」
既に通い慣れてしまったと言えど、私は春から転校してきた身だ。
去年のこの日は勿論地元に居た訳だし、知らないのも無理はないのだけれど。
「特殊?」
もうこの学校に関しては知り尽してしまったとすら思っていたから、正直驚きを隠せなかった。