BRST!
私の頭に添えられていた手が一瞬離れ、すぐに指先が触れて長く伸びた髪を梳いていく。
混じり合った体温と香りが、昴くんと私が確かに此処に存在することを教えてくれた。
「何も心配する必要、ねーよ。」
「…、」
「それにこうしてれば、誰も稜のこと見えねーだろ?」
閉じ込められた腕の中で、顔を上げてみれば。
優しく笑った昴くんが目線より少し上に居るだけで、他には何もなくて。
「だから、」
「っ!」
「こんなことしても、誰も咎めたりしねーし。」
唇に触れた熱に目を見張ると、したり顔の彼が尚も近距離に居たりして。
「(そのドヤァ、みたいな顔…。)」
そのことについて、敢えて言及は避けてみたり。