BRST!
「じゃあ、」
「ッ」
「私がこうしても、誰にも見られない訳ですよね。」
仕返しとばかりに、首に腕を掛けて離れたばかりのそこへキス。
自分から仕掛けておいてあれだけど、やはり恥ずかしさは否定できず真っ先に昴くんの肩に額を預けた。
そこで、目に入った大きな左手。
自分のそれを隣に持っていけば、大きさの差が顕著になって思わず小さく笑った。
「やられたー…、」
「お互い様じゃないですか。」
「まあ、な。」
その薬指にはめられているシルバーリングに指を這わせ、お揃いの文字をきゅっと撫でてみる。
その瞬間光るそれは夕日に違いないと、私は疑うこともしなかったのだが――。