BRST!



「じゃあ、」

「ッ」

「私がこうしても、誰にも見られない訳ですよね。」




仕返しとばかりに、首に腕を掛けて離れたばかりのそこへキス。


自分から仕掛けておいてあれだけど、やはり恥ずかしさは否定できず真っ先に昴くんの肩に額を預けた。




そこで、目に入った大きな左手。


自分のそれを隣に持っていけば、大きさの差が顕著になって思わず小さく笑った。




「やられたー…、」

「お互い様じゃないですか。」

「まあ、な。」



その薬指にはめられているシルバーリングに指を這わせ、お揃いの文字をきゅっと撫でてみる。


その瞬間光るそれは夕日に違いないと、私は疑うこともしなかったのだが――。


< 717 / 945 >

この作品をシェア

pagetop