BRST!
/終焉の始り
――――それは、何の変哲もないある日の午後に起こったのだ。
「……、――!」
「チッ。」
長く巻かれたマフラーの裾を揺らしながら、歩き慣れた街のアスファルトを歩き進めていた私。
いきなり背後から襲い掛かってきた不特定多数の人間によって、その行動は阻まれてしまう。
空を拳がきる微細な音を鼓膜が拾い取り、考えるよりも先に身体が拳を避けた。
「誰―…っ、て、その恰好…!」
目の前に屹立《きつりつ》するのは、いつか見た黒に身を包むその姿だったから。
若干の蒼白さを帯びた私の表情は、当時敗れた相手を前にして無意識の内に戦慄を覚えたことを物語っている。
「(なんでこんな日に…!)」