BRST!
じゃり、と音を滲ませながら後退していく。
逃げる訳じゃないけれど、私一人と大人数の奴等では圧倒的にこちらが不利だ。
瞳だけが晒されているその姿は、昼間と言えど闇夜と変わらず不気味なものに他ならなかった。
――――――――――…
数時間前。
『じゃあ、行ってきますね。』
『本当に送っていかなくていいのかー?』
『大丈夫ですよ。それに昴くん、午後から学校行くんでしょう?』
『うーん、そうなんだけどよー。』
見慣れた自宅の玄関の一角。
ローファーに両脚を収めた私は、段差のせいで普段以上に長身に見える彼を見上げつつ音を紡いでいく。
『受験票も、ちゃんと持ちましたし。』