BRST!
その瞬間、渾身の力で地を蹴って駆け出していく。
揺れる視界、アスファルトの感触、行く手を阻む5、6人の影。
「――っ、」
狙うは敵の頭だけ。
尚もこちらに視線を飛ばす黒尽くめの奴等。
動きを見せた私に合わせて臨戦態勢に移る取り巻きに対し、真ん中に佇むリーダー格のヤツは身動きすらしない。
―――ブンッ
「ちっ、」
舌打ちを零したのは私。
思い切り繰り出した蹴りは空を掻くに留まり、素早く視線で黒を追えばヤツは低姿勢で回避したらしかった。