BRST!
その余韻に浸る隙も与えられず、左右から繰り出された拳をバク転で回避する。
視界を遮る黒髪を後方に流して、前方へと視線を向ければ。
取り巻きの内の二人がリーダー格の奴を守るように陣を取っていて、先刻左右から攻撃してきたのはその二人だと悟った。
「(…、あと2、3人居た筈。)」
ぐるりと瞳だけで周囲を探るも、気配を消しているらしく把握は厳しい状況で。
思ったよりも戦闘能力の高い取り巻きに焦りを感じつつ、ピアスの裏側を二回続けて押した。
「…それ、何だ。」
「やっと喋りましたね。男だったんですか。……目的は?」
「何だと聞いている。」
射殺すような視線を向けてくるリーダーらしき男に、苦笑。
やっと口を開いたというのに、きちんと会話なんて出来無さそうだ。今更性別を知ったところで、どうこう出来るものでもないし。