BRST!
「そっちが答える気もないなら、私だって教えませんよ。」
ニッコリとわざとらしい笑顔を貼り付けて、そう零してやる。
それに若干眉根を寄せたらしい男に、感情はあったのかと安堵してしまった。今までは終始無表情だったから。
と、そのとき。
――ガッ
「あ、っぶな!」
後方から前触れなく繰り出された蹴りを屈んで回避し、音のした方向を見ると道路脇のコンクリートが破壊されていて。
「(え、マジで…!)」
生身の身体でコンクリートやら鉄やらを破壊するのは昴くんくらいだと思っていたから、驚きに目を見張る私の反応は必至だった。
しかも、だ。
今しがた黒に覆われた脚を振り回した男は、私が取り巻きだと判断していた部類のヤツで。
「…、」
ひやり、と。背中を走っていく悪寒と戦慄に、焦りよりも恐怖が私の中で勝り始めていた。