BRST!
……確かに。
私の左耳に揺れるピンクゴールドのピアスは普通に売られている物ではなく、響兄が用意したものだ。
これ自体がGPSの役割を果たしていて、裏には小さなスイッチが組み込まれていて。
それを押すことで、他の二人に"緊急事態"だと伝えることが出来る。
「(でも、)」
まさかその裏をかかれるなんて。
「観念しろ。」
「―…っ、」
じりじりと近付く黒の集団に、嫌に背中が汗ばんでくる。
先程投げ出したバッグとマフラーが、無残にもリーダー男の足に踏み付けられていて。
脳裏にチラつく昴くんの笑顔。響兄のでれでれした顔。
それらが浮かんでは消えるの繰り返しで、6人の黒い影が近付く度に後退するしか術がない。