BRST!
拳に再び強い思いを込めて、顔を上げた私にもう迷いは無かった。
他の人にはない能力をもって生まれたからには、こういう結末の予想くらいはしていた。
こうなったら二人に負けないくらい、自分の出来る最高の闘いを尽くすまでだ。
「(待っててください、昴くんに響兄。)」
今、私もそっちへ行きますから――…。
確固たる思いを胸に抱きつつ、尚も薄気味悪く瞳を狭める男目掛けて地を蹴りあげた。
――と、そのときだった。
「ちょっと~。稜ちゃん、勝手に俺らのこと殺さないでよ!」
「あ、おいクソ野郎!もう良いならそう言えよ!この胸糞悪い状況、もう耐えらんねーわ。」
「(…え、?)」
あまりに目の前の光景が信じ難く、握り固めた拳を呆気なく解いてしまった。