BRST!
「そ、んな…。」
「それはこいつ等のことなんじゃないか、って思うんだ。」
そう言いつつ響兄が指し示したのは、勿論のこと黒尽くめの男たちで。
リーダー格の男の周辺だけではなく、取り巻きたちが伏せる周囲にも散らばっている黒い石の多さに、軽く目眩がした。
一体何人の命が、犠牲になったというのか。
「この黒く染まった石は、一般人を支配した証拠。もしかしたら、今回襲ってきたこいつ等は元来は悪い奴じゃないのかもしれないけど…。」
「……、」
「この石を求めるあまり、修羅の塊になったからには、記憶を消させてもらうしかないね。」
手のひらを翳して、白金の光を一人ずつに当てていく響兄の背中を見つめていた。
この黒く染まった石は、私たちが持って帰ろう。"黒"に支配されない"能力者"の私たちしか、この役目は担えない筈だから。
あまりに悲しい情景を携えたこの闘いも、やっと決着がついたんだ。
これからは、同じような犠牲者を出さないためにも、私たちがしっかりしなきゃ――…。
優しく支えてくれる昴くんの腕に甘えながらも、儚く消えてしまっていた同胞を思わずにはいられなかった。