BRST!
「――昴…、」
「おい兄貴、やめろよ。テメェの能力じゃねーけど、今なら俺でも兄貴の考えてること分かるぞ。」
「………。」
「心配すんな、っての。何より、あいつ等ぶっ倒したんだから何も危惧する必要ねーだろ?」
確かに、昴くんの言う通りだ。
私たちにとって、これ以上ないってくらい最大の敵だった"黒尽くめ"。
奴等を倒して"黒い石"を此方側の手にした時点で、私たちの"能力"を知る人間は居なくなったも同然なのだから。
「私も、そう思います。それに、今までの"暴走"はほとんど止めることが出来ましたから。」
「…、さすがの昴も、稜ちゃんにはタジタジだからね~。」
「そ、そういう意味じゃありません!」
やっと本来の調子を取り戻した響兄を見て、ほっと一息。
何時《いつ》もおちゃらけている人が静かだと、逆に胸がざわついて仕方がないから。