BRST!
/卒業は直ぐそこに
『残念ながら、今年も桜は咲きませんでしたね~。』
『卒業シーズンもまっただ中ですが、まだまだ肌寒いですよね。今日卒業される方も多いと思いますが――』
テレビから放たれる、コメンテーターたちの会話を何気なく耳にして。
ぼんやりと画面を見つめたまま、白い皿に置かれた食パンを少しずつ咀嚼する。
リビングの壁に掛けてある時計に視線を移せば、その針が指す時刻は正午ジャスト。
「…、……。」
今座っている椅子の隣に置いた、三年間お世話になったスクールバック。
その奥底に潜む紙を捕まえるべく、隻手を突っ込んで指先をさ迷わせた。
「(…あった、)」