BRST!
そんなことをしている内にも、時間は過ぎていくもので。
「やば、」
思わず誰も居ない空間にそう零し、目を通していた紙を再びスクールバッグに潜らせる。
"卒業生の方へ"と記されたそれ。
恐らく今日で最後になるであろう制服に身を包むと、テーブルの上にある食器類を急ぎ足で片付ける。
『今日、そっちの意味で"卒業"する人もいるのかな、なんて――』
まだ言うか!
思わずリモコンのスイッチを力を込めて押してしまった。
ブッツリとした音と共に、黒の画面に戻ったテレビを暫く睨みつける。
最後に忘れ物などを確認すると、キーケースから取り出した鍵を片手にマンションをあとにするのだった。