BRST!



思わずジットリとした視線で里麻を見上げると。



「ほーら、行くよぉ!なにボサッとしてんの!卒業式始まるよ~!」

「(お母さんみたい、)」

「ん、何か言った!?」

「いいえ…!」



小声で呟いた筈の台詞は、どうやら地獄耳の里麻には届いていたらしく。


勢い良く振り返った里麻に、ぶんぶんと首を振って否定してみせた。




と、そのとき。


「――り、稜、大変だぁ…!」

「え、何どうしたんですか!?」

「まままま、前見て、前!」



酷く驚いた様子の里麻を見て、何かあったのかと心配になる。


示された方向をそのまま辿れば、信じられない光景が目に飛び込んできた。


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