BRST!
第3章
/闇の組織
「あつ~い。」
「おなじく。」
暦《こよみ》は7月。ついこの間梅雨の季節が過ぎたと思いきや、今度は夏に片足突っ込んだような暑さ。
下敷きでぱたぱた扇いでぬるい風を送り込む。それにひきかえて隣の席に座っている里麻は扇子だ。羨ましい。
「早いねぇ。もう稜が転校してきてから2ヶ月も経ったんだぁ。」
「そういえばそうですねー。」
最近は色々ありすぎて時間が経つのが早く感じるなあ。これからは平穏な時間を過ごせればいいんだけど。
「ねぇ稜。そういえば例の噂聞いた~?」
「うわさ、ですか?」
「うん。」
やけに真剣な表情をした里麻は、あたしも詳しくは知らないんだけどね、と話を切り出す。
「なんか物騒なグループができたみたいでさぁ。そこに捕まったら薬とか強要されるんだって。」
「薬、ですか…。」