BRST!
/終焉の奏者
――――――――――――…
「う……ん、」
ぱちり、目を開けると光が飛び込んできた。
それがホテルの部屋の照明だと気付くと、隣に居るであろう彼のほうをゆっくりと向いて。
「…、…え?」
その姿が、ないことに目を見開いた。
「――っ、」
慌てて身を起して周りに視線を飛ばす。
それに伴うように、下腹部に鋭い痛みが突き刺さる。
数秒の間、ベッドでうずくまっていた。
はあ、と大きく息を吐いて、もう一度立ち上がろうとする。
「(落ち着け、…落ち着け。)」
トイレに行ってるだけかもしれないじゃないか。
それか、売店とか――嗚呼、ここのホテルにはないんだっけ。
異様なほど私の中を巡るのは、一瞬彼が見せた、悲しい表情だった。
何度頭を振っても、髪を掻きあげても。――追いかけるように、執拗にそれが脳から離れてくれない。