BRST!
やっとの思いでソファーのある部屋に行けば、殊更その現実は私を追い詰める。
「な、…んで、」
昴くん。なんで、どうして。
――忽然と消えた形跡。
彼の持ち物、衣類が一つとして残されていなかった。
鈍器で頭を殴られたかのような、衝撃が襲い掛かる。
テーブルの上に置き去りにされていた携帯電話を手に取れば、不在着信を知らせるランプが点滅を繰り返していた。
「響、兄…?」
落胆と、不安。
いくら探しても昴くんからの着信はなくて、ずらりと埋め尽すのは"響兄"の二文字だった。
呆然とそれを見つめていたところで、再び携帯が震えだして着信を知らせた。
「、はい…!」
"稜ちゃん!?あのさ、昴そこに居る!?電源切ってるらしいんだよアイツ!"
「いえ、それが…。何処にもいなくて、」
"…居ない…?"
「あの……何かあったんですか?」
そう問うた私に、響兄は信じられない言葉を言い放つ。