BRST!



ガチャリ、鍵を差し込んでゆっくりとノブをまわした。



「…、……」



響兄と私を迎え入れたのは、薄暗い人気のない空間で。


やっぱり、と。落胆を隠しきれなかった私は思わず溜め息を吐く。





と、そのとき。



「――あぁあ~!!」

「わ、」




背後から聞こえてきたのは、響兄の雄叫びような叫び声。

ギョッとして振り返れば、その視線は玄関の棚の上に向けられていた。




「、どうしたんですか!?」




何か昴くんに繋がるヒントが見つかったのかもしれない。


そんな思いで近くまで駆け寄ると、響兄はロボットのような動きで此方を見た。




そして。



「ない、無いんだよぉお…!」

「なにが?」

「俺の、俺のブロマイドが~!!」




――ズッサァア!


と、思わずこけそうになった。




いや、実際はこけてませんけど。

ですけど、今この瞬間にそれを言う図太過ぎる神経が信じられない!


< 863 / 945 >

この作品をシェア

pagetop