BRST!
/捜索
「すみません、相川と申します。」
「ああ、電話の。呼んでくるので、少々お待ちくださいね。」
対応してくれた人に向かって、軽く頭を下げ感謝を示した。
はあ、と口から溜め息が洩れる。
視線を下に落とせば、茶色の質素なスリッパが視界に映り込んだ。
遠くから耳に届く、この建物独自の喧騒が心地好い。
暫く目を閉じて耳を澄ませていれば、パタパタと響く足音が私を現実に引き戻した。
綺麗なガラスによって隔たれた受付に視線を向ける。
そのままの状態で数秒の時を待てば、先程おじさんが立っていたのと同じ所にある人物が姿を現した。
気立ての好さそうな女性。見た目で推し測ると年齢は50代くらいだろうか。
「あらあら、お久しぶりね。相川先生と喧嘩しちゃったの?」
惜しげもなく頬を緩ませて言葉を向けてくれる、男子高の事務のおばさんに深く頭を下げた。