BRST!

/捜索






「すみません、相川と申します。」

「ああ、電話の。呼んでくるので、少々お待ちくださいね。」




対応してくれた人に向かって、軽く頭を下げ感謝を示した。

はあ、と口から溜め息が洩れる。



視線を下に落とせば、茶色の質素なスリッパが視界に映り込んだ。



遠くから耳に届く、この建物独自の喧騒が心地好い。

暫く目を閉じて耳を澄ませていれば、パタパタと響く足音が私を現実に引き戻した。




綺麗なガラスによって隔たれた受付に視線を向ける。


そのままの状態で数秒の時を待てば、先程おじさんが立っていたのと同じ所にある人物が姿を現した。




気立ての好さそうな女性。見た目で推し測ると年齢は50代くらいだろうか。




「あらあら、お久しぶりね。相川先生と喧嘩しちゃったの?」





惜しげもなく頬を緩ませて言葉を向けてくれる、男子高の事務のおばさんに深く頭を下げた。


< 868 / 945 >

この作品をシェア

pagetop