BRST!
「お忙しいところ、すみません。」
「なーに、改まっちゃって。わたし彼女さんとお話するの好きなの、気にしないで。」
ぽんぽん、と。
優しい動作で背中を叩いてくれるおばさんに、頬を緩めようとしたが失敗。
「無理しないでね。」
どう頑張っても苦笑にしかならなくて、気を遣わせてしまったんじゃないかと不安になる。
労わりの言葉をくれる彼女は、本当に優しくて。
場を和ませることの出来るその手に、その声に。
ここに来て初めて、目頭が熱くなるのを感じた。
「……っ、」
頷くので精一杯な私に、「場所移しましょうか」と提案してくれた彼女に甘えることにした。
――辿りついた先は、グラウンド。
鼻先を掠める砂の匂いと、空気に混じり合う喧騒が胸を落ち着かせてくれる。
おばさんに促され、申し訳程度に設置されたベンチにゆっくりと腰を下ろした。
それを近くで見守っていた彼女は、続くように私の隣に着座する。