BRST!
「有難うございます。」
「いいえ。でも、どうしたの?」
そう問い掛ける彼女に苦笑した。
いくら願ったって現実からは逃れる術も、それで彼が戻ってくることもないから。
――勿論、今日ここに来たのには相応の目的がある。
けれどそれを直ぐに口にして良いものか、少しだけ不安だった。
「実は、昴くんと……喧嘩しちゃって。」
だから、開口一番に彼女が口にした台詞に甘えさせてもらうことにした。
「あら、やっぱりそうだったのね…。相川先生お休み中だし、珍しいと思ったのよ。」
「あはは…。すみません。」
「彼女さんが謝ることないじゃない!私で良かったら、何でも言ってくれて構わないのよ?」
――心苦しかった。
こんなにも親身になってくれる人に嘘を吐く度に、キリキリと痛む胸は正直だったから。
咄嗟に口を衝いて出た謝罪は、本当のことを言えないことも含まれて重い口調になってしまった。