BRST!
「あ、あー…えっと!実は近くのスーパーでタイムセールだったな~と…、」
自分で言っていて訳が分からなくなった。
タイムセールって!もう少しマシな言い訳ぐらい思い付かないんだろうか。
「ああ、あそこね。一番始めに精肉コーナーに行くといいわよ、オススメ。」
「そ、そうなんですか…!」
「ふふふ、主婦歴なら先輩なのよ?任せなさーい。」
穏やかに笑みを浮かべた彼女に、思わず感嘆してしまった私。
って、そうじゃなくて――!
「すみません、聞いていただいて有難うございました!」
「いいえー、慌て過ぎて転ばないようにね。仲直りしたらまた、顔見せに来て頂戴ね。」
「、はい…!」
ぺこり、深く頭を下げて鞄片手にその場をあとにした。
忙しなく脚を動かす傍ら、引っ張り出した携帯電話に指を滑らせる。
着信履歴を開けば直ぐに覗くその名前をタッチし、素早く耳に押し当てた。
"もしもし?稜ちゃん?"
「響兄、やっぱり思った通りでした。」