BRST!
最終章
/電話
――それは、昴くんを探し始めて5日目の夜のことだった。
「響兄、どうですか?」
「……駄目だね、全然情報が掴めない。あのバイクについても、目撃情報がまるで無いんだ。」
「そう、ですか。」
「せめて手掛かりの一つでもあったら良いんだけど…。」
髪を掻き上げ、深い溜め息を落とす響兄。
こんな彼を見るのは初めてで、今回の捜索にどれだけ手を焼いているのかを窺い知ることが出来る。
カレンダーに視線をずらし、日付を確認するのも今日だけで何度目だろうか。
――タイムリミットまであと、2日しかない。
「あの"黒い石"を持って行ったってことは――」
「待ってください!なにも昴くんだって決まった訳じゃ、」
「分かってるよ!俺だってそう思って……って、ごめん。これじゃ八つ当たりだよね…。」
「頭冷やしてくる」と残した響兄は、煙草の箱を持って店の奥に姿を消した。
その様子を眉尻を下げて見守っていた私は、スツールに腰を下ろして瞼を伏せる。
無理もない。響兄だってずっとPCに向かい合っていて、碌に休みもとっていないんだ。