BRST!
そんな中でも、頭を巡るのは今し方電話口から放たれた男の台詞そのもので。
"相川昴を殺す"
警告のように脳を侵食するその言葉は、私にとって凶器に他ならない。
――護りたい。
昴くんのことを、護りたいのに。
人形のように生気を失った私は、呆然とテーブルに置かれた携帯電話を見つめる。
そんな様子を見て固く唇を結んだ響兄は、深く息を吸い込んで、そして。
「――待ってくれ。場所の前に、どうしても聞きたいことがある。」
"……何だ。"
「昴とお前等の関係は?」
支えてくれている響兄の腕に、僅かに力が込められたのを感じる。
忽然と姿を消した昴くん。
それに伴うように消えた、黒い石。
――バーの鍵を持つのは、響兄と昴くんだけ。
そして、突然の電話。
昴くんを殺す、と脅す相手。
――電話口向こうの男の正体は?
響兄と私からすれば、分からないことだけが渦巻く現状で。
一番近くに居た筈の、昴くんの意図さえ汲めない状況で。
そんな中で、響兄が相手に聞くことを選んだのは"昴くんと彼らの関係"――それだけだった。