BRST!
片脚を地面に着き、黒いメットを取り付けてこれからの行動について思案した。
「まずはあの女に会うしかない、か。」
成功するかなんて分からない。
第一、俺だって憶測でしか奴等の狙いは掴めていないんだ。
なるべく音が響かない様に注意を払い、稜の居るホテルから視線を逸らしてバイクを走らせた。
―――――――――――…
今から数週間前。
黒尽くめの敵を倒し、兄貴の店で三人で催した祝賀会のときまで遡る。
『あれ、響兄どこ行ったんですか?』
『さっきまで居たけどな…。女のとこじゃね?』
『いつの間に…!ホント油断も隙もないんですから!』
バーのカウンターに並べられているスツールに腰掛け、憤慨しているらしく両目を吊り上げている稜。
そんな彼女を見て思わず笑みを浮かべていると、怪訝な顔つきを隠そうともしない稜が口を開いた。
『……なにニヤニヤしてるんですか。』
『いや、べーつに?稜ちゃんが可愛くて。』
『んな…!』