BRST!
「?なに……って、ああ~!!」
「ちょっと、声大きいんですけど!」
「あ、ごめ~ん。」
てへ、なんて舌を覗かせて謝罪の言葉を口にすれば。
怪訝な顔つきを隠そうともしない稜ちゃんは盛大に溜め息を吐いた。
「ごめんって。だって、びっくりしちゃって。」
「気持ちは分からなくもないですけど…。」
そう。
稜ちゃんが見つけたのは、昴の愛車――…て言うか、バイクだったから。
煌びやかなボディで店の駐車場に停められたそれは、この荒れ果てたショップとは似つかわしくなくて。
俺に向けて心底呆れた表情を浮かべた彼女は、今はまたそのバイクに視点を合わせている。
切なげな面持ちで佇む稜ちゃんを見ていると、俺までなんか悲しくなってきちゃった。
「稜ちゃん、ビンゴみたいだし行こうか?馬鹿な弟を救いに行きましょ~。」
「…響兄…。」
「辛気臭いカオばっかしてると、チューする――」
「行きましょうか。」
「…、稜ちゃん…。」
俺の言葉遮ったのってワザと?
まあ、この際関係ないかもしれないけどさ…。