BRST!
「…、……」
思わず蔑むような目付きで響兄を見上げれば、「なに!?なんなの!」とおろおろする金髪は必死に私の背に隠れようとしている。
いや、無理だろうよ。
体格といい背丈といい、どんだけ違うと思ってるんだ。
「稜ちゃんったら酷い…!」
「はい、行きますよー。」
「ねえ、スルーなの!?俺のことはあくまでスルーの方向なの…!?」
私の背に縮こまるキングベイビー(もうすぐ三十路)の胸倉を引っ張りつつ、意気揚々と店のドアを開け放つ。
――その瞬間。
「…、…!!」
「な、なに~!」
ヒュン、と風に乗って飛ばされた"何か"が響兄と私のすぐ横を通り過ぎた。
恐る恐る視線を背後に向ければ、洒落にならないくらい極太のステッキがドアに突き刺さっていて。
「二名様、ごあんなーい。」
私が投げたのよ、と指先をひらひら泳がせる美女が店の中央でそんな言葉を口にしたから驚いた。