BRST!
――パチン!
彼女が指先をクロスさせ、音を響かせるのと同時に。
「!?」
店の奥を覆っていたカーテンらしき布が捲れ上がり、手足や口元を拘束された昴くんが姿を現した。
それと、同時に。
「――よくやったぞ、J。」
「勿論ですわ。……全ては、主上の為に。」
姿を現し、店内へと足を踏み入れた一人の男が居て。
「……この声、さっきの…。」
思案するように呟く響兄に気付かない私は、とにかく昴くんのことで頭がいっぱいだった。
「昴くんを返して!!」
「あーら、暴れないでちょうだい。見苦しいわ。」
「そんなの、どうだって良いんです!昴くんを、お願いだから昴くんを離して…!」
心が痛い。
なんで昴くんがそんなにボロボロなの。
なんで彼が、そんな目に遭わなきゃいけないの。
「私が代わりになりますから、お願いだから彼を解放して!!」
彼が生きてくれるなら、身代りになったって構わないから。