BRST!
「知らないって何よ…!私のことなんか、気にも留めてないって言うの!?」
「そんなこと言ってないだろ。お前、稜ちゃんから手離せよ。代わりなら俺でも良いんだろ?」
「なに、なんなのよ!今度はこの子なの!?」
「(えー……、と?)」
うん、ちょっと整理してもいいだろうか。
私の勘違いじゃなければ、この女の人――…"ジョゼ"さんって、響兄のことが好きなんじゃないかな?
そんな気持ちで背の高い彼女を見上げれば。
「っ、」
漸くハッと気付くものがあったらしく、私の瞳から逃げるように視線を逸らしてしまった。
そして。
「駄目よ…!アンタじゃ全然駄目!この子じゃなきゃ代わりは務まらないわ!」
「なんでだよ。さっき、俺の"能力"欲しいって言っただろ?」
「それとこれとは話が別よ!てか響、アンタもう帰ってくれない!?」
「はあ?来いって言ってみたり、帰れって言ってみたり。何なんだよ、さっき俺らに電話したのお前だろ?」
いつもと口調が違う響兄に半ば感心してその場を静観していれば、「ん?」と思わず声を上げたくなるワードが耳に入る。